Jは荒れた。
「祖父が奪われたことに怒りを感じて、どうしても納得できなかった。
僕はカギっ子で、いつも寂しかった。
ヤクに手を出したのは、怒っていたからだと思う」だがほかの子どもだってストレスがのしかかるし、怒りだって感じる。
どうしてJは突っぱしってしまったのか?しかも酒を飲み、薬物を乱用するだけではすまず、エクスタシーを近所の子に売りさばくまでになったのか?Jはうつむいて首を振った。
自分ではわからないのだ。
17歳で美人のJの場合は、ある程度予想がつく展開だった。
Lに住む彼女の家庭はめちゃめちゃで、母親は薬物中毒である。
Jは母親の知人の男性から性的虐待を受けたことがある。
ある日彼女は、自宅の引きだしに入っていたマリファナを見つけて、試しに吸ってみた。
それからは転落の一途で、家出をくりかえし、酒も日常的に飲むようになった。
バスケットボールが好きで、優秀な生徒だったのに、学校にも行かなくなった。
いまの自分は生まれたときからある程度決まっていた、とJは思う。
幼いころから、目につくいちばん高い木に登ったり、ローラースケートをはいてトラックの後ろにつかまったりしていた。
それは悲惨な家庭から目をそむけるためだったのか?それとも遺伝が関係していたのか?「理由はわからないわ。
私にはルールが必要なの。
父の家にいたときは、守らなくてはならないルールがあって、それが心地よかった。
学校に通い、教会に行かなくてはならなかったの。
でもそのあとは、ストレスがたまって、衝動的になった」。
14歳からタバコを吸いはじめた彼女は、すぐに1日ひと箱空けるようになった。
そして13歳のとき、パニック発作に何度も襲われるようになった。
何の前ぶれもなく、とつぜん心臓の鼓動が速くなり、手が汗びっしょりになって、呼吸が苦しくなる。
このまま死ぬのかと思うほどだった。
ここまで読めば、たいていの人は彼女の不安に喫煙が関係しているのではないかと推測するだろう。
この女性はもともと心配性で、不安な気持ちを紛らわせるためにタバコを吸うようになり、心配性だからパニック発作が起こったのだと。
ところが、C大学とニューヨーク州立精神医学研究所が共同で実施していた長期調査の結果、事実はまったく逆であることが判明した。
ヘビースモーカーのティーンエイジャーは、タバコを吸わない同年代の子に比べて、のちにパニック発作を起こすリスクが15倍も大きかったのである。
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